今は、牛乳だけですが、下の子にはかつて食物アレルギーがあった。小麦、乳製品、卵が主なもの。これらがあると、外食・旅行がとても難儀だ。綿密に下準備をして、内心緊張して出かけたものだ。小さい頃はもっと沢山あって、全身に蕁麻疹が出たり、アナフィラキシーを起こしたこともあった。放射能も気にしてたので、旅行の下調べ、下準備は念入りにしたものだ。
大体、行きたいとこ、やりたいことの目ぼしい場所の宿を探し、宿の食事を調べる。対応してくれるとこは調整しておくのだが、私は基本的に自然食の宿を探した。材料がシンプルなのと、コンタミを避けたかったこと、こだわってる人は細かい要望に快く寄り添ってくれるからだ。キャンプすればいいし、もちろんしていたが、子供は宿やホテルに泊まりたがるのだ。
宿の料理を調整したら、昼食のリサーチ。周辺の食べられそうな店を探しておく。無い時、不安な時は調理器具を持参して、宿の庭や駐車場で調理しておにぎりにして持ち歩いた。そして、周辺の救急搬送できそうな病院もリサーチする。
色んな場所に行ったけど、行くと何点かだめな点が出て、リピートすることはなかった。その中で、リピートしたのが南伊豆の大浜だ。
ここは、麦っ子畑保育園で毎年キャンプするとこで、同じようにワンダフルワールドでキャンプをしに毎年出かけた。歩いて海に行けて海水浴ができ、磯遊びもでき、シーカヤックもできるのだ。そして、気がいい。旅をすると場のエネルギーにあたるのか、私はとても体調が悪くなるのだが、そこに行くと逆に元気になる。
そして、カフェM2があるからというのが出かけてた理由である。
M2は、これでもかというほど、贅沢に新鮮な野菜を使った料理を出してくれる。色んな味、色んな食感、色んな調理法。高揚する盛り付け。抜群のセンスと美味しさ。未だ高校生並の食欲を誇る中年の旦那も、自然食の店の料理は足りないと連呼するものだが、M2はお腹いっぱいになる満足感。今どき代表のジャンキーキッズの息子も未だにM2のご飯が食べたいな〜と呟く。
その豊かなランチプレートに米粉パンがついていたのだ。その頃は、米粉パンを作ってる店がほとんどなく、レシピもなかった。作るのも買うのも難しかった中で、いくつか私も食べていた。特別美味しいというものではなく、選択肢がないから仕方なくという感じで食べていた。その添えられていた米粉パンを初めて食べた時の感動ったらない。こんな美味しい米粉パンがあるのー!?作れるのー!?といった感じだった。
何これ、全部美味しい。全部、感動!しかも、子供にデザートを選ばせられたのは初めての経験だった。いつもは、ここの店のは食べられないな、か、これなら食べられるよ、かのどちらかだったからだ。近くにあったら通いまくるのに、と思ったものだ。
M2の山下さんは、その後、cubreadという米粉パン専門のパン屋さんをオープンした。このパン屋さんがまたすごい。美味しすぎるし、常に進化し続けている。何故、近くにない!!伊東の人が羨ましかったー。
しばらくして、cubreadが月に1回玉川高島屋のグリーンマーケットに出店してくれるようになり、行ける時は買いだめしに行くようになった。家族で米粉パンを楽しみにしたものだ。ただ、買うようになったら、cubreadがお休みのときや自分が買いに行けなくて食べられ無い時が堪らなくつらくなってきた。田舎に移住を視野にいれていたので、自分でも作れるようにならなければ、という、何か必要に迫られたのが、自分も米粉パンを焼き始めたきっかけだ。
山下さんは、学校給食で米粉パンを!という活動もしていて、農水省に何度もかけあったり、実際、地元の学校給食で出したり、企業と商品会初したり、イベントやプレゼンなど活動は多岐に渡り果てしない。自分の利益というより、よりよい社会にむけてが、常に視野にあるのが一線を画している。
今まで色んなお店の美味しいご飯、米粉パンを食べたけど、私にとってはM2のご飯とcubreadの米粉パンが、最高で最強。自分がアレルギーの子を育てていた時の希望であり、慰めであり、力だった。感謝しかない。私にとっては憧れの有名人的存在の山下さんですが、数年前からSNSで繋がってたまにやりとりさせて頂いている。でんぱんの発酵器の1つは山下さんから譲り受けたものだ。最高に美味しい米粉パンを焼いているのにもかかわらずから、私のパンを買って下さったりする人格者。尊敬しかない。
そんなM2が閉店することになった。
たくさんは行けなかったけど、沢山のものをもらった場所。
ありがとうございました。