先日、広島のとあるホテルに泊まった。息子の中学の行事に参加するため片道8時間の道のりを一人長距離運転したときのこと。
三原市は、ビジネスホテルの激戦区。有名なホテルたちがしのぎを削っている。検索中、4200円のホテルが出てきた。一人だし、お金かかるし、泊まれればどこでもいいや、と期待してなかった。が、口コミがまさかの高評価。そこには、必ず、従業員の対応が素晴らしいとか、凄いとか書いてあるのだ。どんな接客?どんなだとこんな書き込みされるの?と想像が膨らんだ。
4200円というと、ユースホステルとか、ゲストハウスの値段な感じなので、アットホームというか、気さくで家族的で落ち着く感じなのかと想像しながら、私は何か楽しみというか期待しながら予約した。
実際のホテルは、駅のすぐ近くで細長い建物だった。かなり年季の入った感じ。自動扉が開くと目の前に受付があり、きちんとした身なりの男の人が迎えてくれた。落ち着いた声、丁寧な言葉選びと説明。想像してたものの上をいき、驚いた。丁寧なのは、私に対してだけではなかった。所作も紙やペンを持つ手も隅々まで丁寧だった。
両手で鍵を渡され、受け取るとその人は、さっとエレベーター前に行き、行き先ボタンを押し、私を中へと導いた。中に入ると、その人は扉が閉まる最後まで丁寧に深々とお辞儀をしていた。私は、驚きと感動で6階まで行き、部屋に入った。
部屋に入った瞬間のレトロ感ったら。レトロというとおしゃれな感じだが、そういう感じではない。古いのだ。昔の材料で、昔の職人が作ったものは時を重ねると味が出るが、そうではない。高度経済成長といわれた時代。日本は消費社会の幕開け。安い材料、安い労働力で作られたもので溢れ、安さを競い、使い捨て使い捨て。壊れたら簡単に買い替える。その時代に作られたものは、壊れて買い替えるのを想定して作られるため、弱い、脆い。すでに見ることはできなくなっているのだ。
でも、そこにはそういったものたちに囲まれていた。ドライヤーとエアコンだけが新品で浮き上がっていた。壁紙も3種類、いたんだ部位を補修する感じで違っていた。新しいものばかりで溢れているホテルに慣れている人はゲンナリするに違いない。
しばらくすると、よーく理解できた。古い、古いけど、汚くない。むしろ、きれい。ものは古いけど、丁寧に丁寧に手入れされ、掃除しているのがよくわかるのだ。でないと、あの時代に生産されたものがこんなにきれいに残っているはずがないのだ。使い込まれて、禿げている部位がある。でも、でも、きれいなのだ。
夕ご飯を食べるため、近くのイオンに買い出しに行き、スープ、サラダ、ヨーグルトを買った。ホテルの1階は4人がけのテーブルが3脚。壁に沿って、テーブルと椅子があり、間間にレンジやトースターなどが設置されていた。4200円で、何と朝、パンとコーヒーがつくのだ。先ほどのホテルの方にお箸はないか尋ねるとすぐに持ってきてくれた。スプーンもというと走って奥から持ってきてくれた。温めたスープを持ちながら、エレベーターを待っていると、横からトレーが出てきた。そのきめ細やかさに感動すると、トレーを見てグッときてしまった。古いデザイン、色がはげているところもある。でも、キレイで、ピカピカなのだ。毎日、丁寧に吹いているのが分かった。トレーなんて特別高くない。簡単に買い替えることができる。でもしないのだ。私は丁寧に手入れしながら拭いている姿が目に浮かび温かい気持ちになった。
翌日は違う人だった。でも、その人も所作、立ち居振る舞いは同様に無駄がなく丁寧だった。
いろんなホテルに泊まったが、従業員の顔をはっきり覚えているのは初めてのこと。それだけ、衝撃的で印象深かったのだろう。そこで、私のサービスはどう?と問いかける。言葉掛け、所作、物や人に対する態度。丁寧に行えてるか、大切にできてるか。
佐藤初女さんのDVDを見たことがある。ものすごいゆっくり丁寧に料理を作る。見ると必ず寝てしまう。なぜ、ゆっくりなのか、理由は色々。でも、野菜が痛くないように切ると話す。どう切れば痛くないか。痛く無い切り方を野菜に話しかけながら切るのだ。
そこまではできないにしても、どんなものに対しても丁寧なのはいいな、と思うのだ。自分にない要素。少し意識してみようかな。
ホテルの話
私も感動しました(*´∀`*)!
いつも、日本の時代背景も重ねて書かれてるので読んでいて楽しいです😆
私にはない要素
と書かれていましたが
そんなことないと思います(^^)♡
これからも投稿楽しみにしています♪
コメントありがとうございます。
同じ物を見て、同じ感動を持つ人に出会えることは嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。