さて、いよいよ、プレオープンの日が来てしまった?!早朝から、旦那は更なる怒涛の丁寧掃除。私は、仕込みを開始する。
相変わらず、女将はいくつものタスクを抱えて忙しい。来る予定の時刻に来られたことはほぼない。倍の仕事をこなし、トラブル対応しているのだ。来られる訳がない。だが、しかし、準備の半分も仕込みの半分もできてない状況。不安がよぎる。女将が来ないと仕込みができないというところまで、仕込みが進み旦那のアシストに入ろうとしたところで、女将登場。
旦那やパートさんに指示を出しながら、女将、厨房に来る。仕込みを始めようとすると電話が鳴り出し、呼び出しあり、事務などに消える。全く仕込みが進まない。とにかく、女将部門の仕込みが優先と考え、女将の考えを聞きながら、仕込みをもらっていく。
自分が一番不安だった点。コースの全貌も細かなところもオペレーションも全然見えなかったところ。全ては、女将の頭の中だけだったところ。私は、コース料理の店を義姉の実姉と出したことがあるが、吉兆の料理人をしてた人と何度も試作して、コースのストーリーを考え、オペレーションを考え、練習し、火入れのタイミングやコツを掴んでいったものだ。今回はその時間が皆無。コースにも関わらず超多忙な女将の頭の中だけに全てがかかっている。それで、できる?出せる?大丈夫?不安だけが募る。
仕込みが全然進んでない中、事務で呼び出され、防災のレクチャー。女将ってば、あれ?何だっけ?このはずなんだけど。とにかく、鳴ったら見回って、このボタン押してからアナウンス。終了ーーー。え?今の説明で分かった?仕方がない。火災時は、何とかするしかない。以上、防災オリエンテーション終了。
そして、再び厨房へ。チェックイン時間迫る。もう、いい加減、仕込み進めないとまずいな、と進める中、女将より呼び出しかかる。仕込みどころではなくなった。旦那、パートさんが受け持つ外回りの準備が全く追いついてない。もう、和室たちの包布、枕カバー入れは諦め、各室のお茶セットやバスタオル、ソーイングセット、最終チェックにとりかかる。みんな、走る走る。ふ〜、何とかオープンに間に合ったー。
オープン、チェックインレクチャー。あとは、全て旦那に任せ、何度目かの厨房へ。
いい加減やらなきゃでしょー。ここから、怒涛の仕込み&食事タイム。
今回、導入したコンベクションオーブンというお高い優れた調理器具があるが、中々、使いこなせない。女将ってば、このやり方分かる?使ってる?と聞いてくるが、やり方も何も聞いてないし、練習したいけど分からないから使える訳ないしー。中々ジビエが上手くいかない。大丈夫なのかー私達ー。何とかかんとかお出しする。
そんなこんなで、料理終了。片付けをしながら悶々とする私。なぜ、この忙しい人々ばかりで、オープンをすすめるか、何故、ものすごい忙しい一人の人が準備をするのか、いや、しかし、他の人は同等かそれ以上に忙しい。
忙しいという字は、心を亡くすと書く。目標に向かって、納得してやる大変さはどうとも思わない。が、しかし、納得いかないこと、やりたくないこと、意味のないことに心を奪われるような忙しさはしたくない。もう、やりたいことしかやらない、そう決めてここまできた。
私も施設の立ち上げも飲食店を出すこともしたことあるが、そこだけにかかるスタッフが数名いて、コンセプトやターゲットやどういう場にしたいか、練りに練ったものだ。話し合った時間は計り知れない。でないと、さまざまな判断基準が見つからないからだ。じゃ、私は何に、悶々としてる?女将に?いや、違う。会社の人に?も、あるけど、少し違う。地域のため、人のために沢山働いてる人達。じゃ、何に?
やりたいことをやってない自分に。
よし、朝食は言いなりにならず、自分の考えを言い、今の最大限の納得ができるものにしよう。女将に、今日みたいに、その時の旬を出したいからとか、急にメニュー変えるから、ギリギリまで決めれない、は止めてもらいたいと話す。決められないは、今の段階、コース料理では無理です。メンバーが初心者だし、作戦練らなきゃ無理です。朝のバイキングは、もっときちんと決めたいです。メニューも決めましょう。全部、自分でやらないで、言ってもらえれば作りますから。と話す。
みなさん、私の文章を読んでどう思われたかわからないが、この女将、年は私と同い年。そして、どこまでも、優しい、性格がいい。だから、色々引き受ける。人が大変と思うこと全てやる。そう、つまり、私と正反対。私はやりたいことしかやらない。人が大変そうでも、自分ができないことは断る。一緒に心を亡くす忙しさはしたくない。だって、そのために、全てを手放してきたんだもん。同じことしてたら、意味ないもん。
さて、優しい女将は、そうだね、私もそう思う、と細かく朝食について打ち合わせをする。女将は凄い人。常に人が楽しく、明るく過ごせるような場作り、言葉掛けに努める。だから、彼女の旅館はコアな常連で仕事が耐えないし、パートさんも人柄のいい優秀な人ばかり。
さて、朝のバイキング。相変わらず、女将は旅館の朝食、ウッドハウスの朝食、賄い、夕食の仕込みをしてやってきた。私も早朝から仕込み開始。打ち合わせしてたので、ちょっとしたトラブルにも直ぐに対応できる。評判もよかった。
そして、チェックアウト。POSレジのレクチャーを受けつつ、お見送りをする。今回のプレ、細かいアンケートを書いてもらうのを条件に泊まって頂いた。愛ある励まし、厳しい指摘の数々に心折れそうになったり、励まされたり。だが、私はある決意をしていた。
毎週、ウッドハウスのことで話し合いをすることになっていた。翌日は、アンケートを元に改善していく話し合いなのだ。気が重い。ご指摘はごもっとも。でも、準備期間が全然なかった。誰も悪くない。じゃ、何が嫌か?自分のやりたいことをやれてない、言えてないということ。
私は、言うと決めたことをもれないようにメモに書き留め、旦那に、今日、私、ちょっと言わせて頂こうと思いますが、いいですかと聞くと、どうぞ、と返ってくる。
話し合いスタート。が、女将遅刻。会社の数名で始まる。1つ1つ読み合わせ。その間に女将登場。読み合わせ続き。そして、1つ1つに対し、どうするか、検討。始め、言うタイミングを図ったが、女将が来てからと思い、タイミングを逃した。読み合わせてると、タイミングを図れず。しかも、アンケートを読みながら感動して泣きそうになる。
はてさて、タイミング図れないままどうなったか。
何と、話す前に私がやりたい方向に自然に行ったのだ。私が考えてたどうしても納得できない一番嫌だったこと、値段設定とコース料理。値段は高いと思ってたし、コースはしたくないと思ってた。両者がまずはいい方向に向かったのだ。
まだまだ、これからのウッドハウスおろくぼ。始まってもないし。お客さんと作ってくストーリーだから。ここが何かのきっかけになるような場作りになれば、そう願ってます。
珍道中は、つづく。
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